陽だまり笑顔の君に


トイレの鏡の前に立つ。
鏡の中の自分を見つめる。



あの時から場所も環境も
何もかも変わったのに……。



私が高校3年生で
兄が大学4年生だった時…



兄に抱かれたあの日を
いまだに忘れることができない。



親にバレて兄がひっぱたかれ
私と兄は隔離された



私が高校を卒業するまでの間
兄は家族からゴミをみるような
目で扱われ、蔑まれ、1人孤独に
生きている兄を助けることもできず



苦しくて、両親が嫌いで
嫌気がさして兄に何も告げず
逃げ出したんだ…



私がお兄ちゃんを
愛してしまったばかりに…
私が苦しめたのに…



そのくせ親に甘えて
仕送りを貰って
穏やかに暮らしてる私



お兄ちゃんはきっともう
私の事なんて好きじゃない…


むしろ憎んでるに違いない。



それでも私はまだーーーーーー。



私は自分の頬を思い切り叩いて
自分の気持ちを振り払う



もう忘れてしまえ。
忘れなきゃいけない。



お兄ちゃんにはもう
二度と会うことはないのだから。
< 16 / 70 >

この作品をシェア

pagetop