陽だまり笑顔の君に
「海なんて久しぶりに来た」
ボソッと呟く
地元は海の近くだから
よく兄と行ってたけど…
「そっか」
私の小さな言葉に笑うと
砂浜に腰を下ろす
私も俊くんに続いて
腰を下ろしたーーー。
しばらくの沈黙
そんな沈黙を破ったのは
俊くんだった
「俺ね、好きな子がいるんだ…」
はい?
それってーーーーー私?
「あ、今自分かなって思ったでしょ?まあ、さっき片想いとか言ったしね」
クスクスと笑いながら
私の方へ向き直る
「菜々ちゃんじゃない、別の子の話」
なんだほら…やっぱり
ただの冗談じゃない
「なんでそれを私に?」
素朴な疑問。
「まあ、いーから聞いてよ!俺の昔話♪」
ほんとこの目の前の男は
清々しいくらい綺麗な笑顔を見せる
沈んでゆく夕陽のような
暖かな陽だまり笑顔。