陽だまり笑顔の君に
「内倉に告白したって言ったじゃん?」
私は静かに頷く
「フラれて、しばらく落ち込んで過ごしてる時に、ある1人の女の子に出会ったんだ。
落ち込んでいた俺を凄く励ましてくれて、最初は親切だな優しいなってそれだけだった。
3年になってその子と同じクラスになって、毎日一緒にいて気づいたら内倉のことなんて忘れてた。
気づいたら…その子が好きになってた。」
とても懐かしそうに話す俊くん
きっととても大事な思い出なのだろう
「高3の夏に、その子から告白されて…嬉しくて馬鹿みたいにはしゃいでたの今でも覚えてる」
「そうだったの…今も付き合ってるの?」
途中で気になって口を挟む
さっき好きな子がいるって言ってたから
今でも好きなんだよね…?
けれど俊くんは
首を横に振った
「今年の春に亡くなった。」
え?
驚いて声も出ない。
亡くなったって…なんで?
そんな…悲しすぎる
そうかさっきあの2人が
俊くんの事を心配そうに
見てたのはきっとこの事
だったんだーーーーーー。
「ちょっと!菜々ちゃん泣かないでよー」
そう言って頭をポリポリ掻いて
困ったように笑う俊くん
あれ、私…泣いて…
ポロポロと頬を伝う涙
そんな悲しいことがあったのに
どうしてそんなに陽だまりのような
笑顔ができるの?
兄を捨てて逃げてきた私は
いまだにまともに笑うことすら
出来ないのにーーーーーー。