陽だまり笑顔の君に




「那桜…何でここに…」



「菜々…久しぶり」



学校の門の前で私を待ち伏せて
いたのか昔よりさらに大人びた兄



青葉 那桜(あおば なお)
が笑顔で立っていて…




「仕事の都合でね、こっちに引っ越してきたんだ…。そちらは…彼氏さん?」




なんで…いるの。
私…もう二度と会うことはないと…
何もかも裏切って捨てて逃げてきたのに
今更どんな顔すればいいの?



「そうですけど。菜々のお兄さん?」



俯いたまま何も
言えなくなった
私のかわりに
俊くんが答える



「そうだよ。……そっか、菜々……彼氏出来たんだね。俺もね、彼女いるから心配しないで。彼氏さん…菜々をよろしくね」




ズキンズキンズキン



お兄ちゃんに彼女…
そんなの別に何ら
不思議な事ではない。



お兄ちゃんは本当にかっこいいし
頭いいし、優しくて強くて器用で
何でも出来てしまうすごい人で…



だから、この1年間の間に
彼女が出来てたって
おかしくないんだ



私だって現に今は
俊くんという彼氏がいて



なのに…どうして…
その一言でこんなにも
手が震えてしまうの…。



どうして…こんなにも
泣きそうになってしまうの。




どうしてこんなに
傷ついているんだろう。


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