陽だまり笑顔の君に



その翌週からの
収録は散々だった。



どうしても兄を思い出して
思うように芝居が上手くいかず
桜庭さんを怒らせるわ



紀田さんや俊くんに
迷惑かけるわで




本当…何してるんだろう。




「菜々……大丈夫?」



「優亜…今日は本当ごめん…」



とりあえず今日は解散
ってなったあと



いつものファミレスで
優亜とお茶をしていた。



心配そうな顔をする優亜を見て
すごく申し訳ない気持ちになる。



絶対成功させなくちゃいけないのに…




なんで、このタイミングで
お兄ちゃんが現れたの?



「羽麻くんから少しだけ話聞いたけど…菜々お兄ちゃんいたんだね…」



「う、うん…」



「なんか…その頃から菜々の様子がおかしいって凄い心配してたよ?お兄さんと喧嘩でもしてるの?」




やめてよ…
今お兄ちゃんの話なんか
しないで欲しい



優亜には関係ないじゃない



「私も弟いてさー、よーく喧嘩するけど…兄弟喧嘩なんてすぐ仲直りできるから大丈夫だよ!!心配しなくても…」





「うるさい!!」




気づいたら申し訳ない
気持ちよりも苛立ちが
勝っていて思わず怒鳴る



「…な、な?」




目を見開いて驚く優亜を
視界に入れても私の溢れ出した
黒い感情は止まることなく




「優亜に何がわかるの!?私のこと何も知らないくせに勝手なこと言わないでよ!!……いいよね、優亜は。1番大好きな人の近くにいれて…愛してもらえて。」




酷い言葉を浴びせる。
違う…違うの。




こんなことが言いたいわけじゃない 。




ほんとどうかしてるよ…。

< 38 / 70 >

この作品をシェア

pagetop