陽だまり笑顔の君に
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「ごめん、こんなものしかないけど……」
コトッ……
麦茶の入ったコップをテーブルに置くと
兄は「大丈夫。ありがとう菜々」と言って
ニコッと笑う……その笑顔が直視できなくて
私は兄と目が合わせられずにいた。
「菜々が声優目指してるの俺全然知らなかったよ……」
「あ、うん……。お兄ちゃんとは随分会ってなかったし、連絡もしてなかったからね」
尋常じゃないほどの気まずい空気を
感じてる私なんてお構い無しに
ペラペラと世間話を始める兄……
「菜々は、とても素敵な声をしているから、きっと声優になれるよ。俺、応援してるから」
そう言って私の頭をポンポンと
撫でる兄はあの頃の温もりと
全然変わってなくて……
複雑な気持ちと悲しみが入り交じって
涙が出そうになるのを必死に堪える。
「あ……ありがとう」
「ところで菜々……。この前渡した紙どうしたの?」
「えっ?」
「俺の連絡先書いた紙渡したでしょ?」
今までの笑顔が一変、急に真顔になると
声色も少しだけ低くなる
その雰囲気にちょっとだけ
背筋がゾッとしたーーーーー。