陽だまり笑顔の君に
*俊side*
兄と再開してから様子のおかしかった
菜々が徐々に回復してきたーーーーー。
俺と裕也が書いた台本と同じように進む
ゲーム画面上のキャラたちに
菜々と内倉の声が乗る。
一時は困難かと思われた初仕事だったけれど
無事に終えることができたーーーーーー。
でも、やっぱり菜々は何か隠してる気がする。
じゃなきゃあの日……
菜々の部屋から出てきた那桜さんが
凄い目つきで俺を睨んだりしないよな……。
だからと言って無理に聞くつもりもないし
俺の過去と同じように、もしかしたら
菜々にも酷く辛い過去があるのかもしれない。
俺だって……まだ過去の全てを
話してるわけではないから……。
「俊くん、ごめん。今日は声優科の先輩たちと飲み会があるから一緒に帰れないの」
「おけ、了解。また明日な。未成年なんだから酒は飲むなよ!!」
「わ、わかってるわよ!」
昼間に電話で菜々とそんな会話をして
珍しくあのアパートまで1人で帰る日。
大学の講義を全て終えた俺は
裕也と別れて大学を出る……。
「羽麻くんだよね……?」
突然呼び止められて振り向くと
そこには菜々の兄、那桜さんが立っていたーーー。