陽だまり笑顔の君に



「う〜っ!めちゃくちゃうまぁ」


幸せそうに小籠包を頬張る俊くんを見て
ふと俊くんと出会ったときのこと思い出した。



「あの時は死にかけだったのにねぇ?今では元気いっぱいね?」



ちょっとからかうつもりで
にやりと俊くんの方を見ると



「うっせ!バイト変えたばっかで金なかったんだよ」



顔を赤くしてそっぽ向きながら
照れ隠しに悪態をつく。



それがまた可愛い……。



「ふふっ、冗談よ。私、俊くんが幸せそうにご飯食べてる姿見るの結構好き」



「へぇ、それ煽ってんの?」


いつの間にか小籠包を食べ終えた
俊くんが私を思い切り引き寄せると
私の顎をクイッと持ち上げる



こ、これが噂の顎クイ!?!?



ってそうじゃない!!!


「ちょっと、ここ人いっぱいいるんだけど!?」


「関係ねぇ、可愛い顔で可愛いこと言ったお前が悪い。あと、俺をからかった罰」



そう言ってちゅっと私の唇に
キスをしたーーーーーーー。


「っ……////……このドSめ」


「さぁて?なんの事?」


私がムッとした顔で睨みつけても
そんな事はお構い無しに白を切る俊くん。



今となっては……そのドSぶりにすら
ドキドキしてしまっている自分がいて
もはや手遅れだと思っている。


多分、自分が思っている以上に
俊くんのことが好きなんだと思う。



あの日……兄に再会した時
正直あの時は一瞬にして
自分の世界が、目の前が
真っ暗になった気がした


息苦しくて悲しくて
辛くて辛くて


あぁ……自分はまだきっと
兄が好きで好きでしょうがないんだと



きっと一生忘れることなく
このしがらみから抜け出せないまま
孤独に生きていくんだと思った。



むしろ俊くんに出会うまでは
それでいいとさえ思っていたーーー。
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