陽だまり笑顔の君に
「これはまた偶然だね」
兄はにっこり笑うと
隣の女性を連れてこちらに
歩み寄ってくる……。
うん……ほら……
あの時より平気
心拍数も早くならないし
胸だって苦しくならない
むしろ、今兄が私の事など
忘れて隣の女性と幸せに
暮らしてるんだとしたら
それでいいーーーーーー。
兄が幸せなら、私が兄に与えた
あの時の絶望と言う名の罪も
許されるんじゃないかと……
「那桜兄、そちらは彼女さん?」
今度はあえて"那桜兄"と呼ぶ。
もう、あの時みたいに
呼び捨てするのはやめよう
そんな意味も込めて
だけど兄はそんな私の質問に
ちょっと眉間に皺を寄せて
不機嫌そうな顔をする
あれ、私今何か変なこと言った……?
「うん、そーだよ。この人は俺の今のか…………は?」
途中まで何か言いかけた兄の視線が
私たちのペアリングに向く
「菜々……それなに?」
不機嫌なんだけど無表情で
リングを指さす那桜兄
何って……
「ペアリングよ?見ればわかるでしょ?」
何を言ってるんだと
言わんばかりに返答すると
「……ざけんなよ」
ガシッと思い切り腕を掴まれ
兄の元へ引き寄せられる。
「な、那桜兄!?ちょっと痛い、離して」
突然、豹変した那桜兄が
苦しそうに顔を歪める
ーーーーーーーーーーえ?
何でそんな顔してるの……