陽だまり笑顔の君に



「俺が、昔あげたのはどうしたんだよ、てか……なんでこんなものはめてんだよ、マジでありえない。」



早口で捲し立てるように
言葉を羅列する兄に
どうしたらいいかわからず
困惑する私……。


「ちょっと、那桜さん!!離してください」


そんな中、冷静に那桜の手を
私から引きはがそうとする俊くんを



「邪魔すんな!!」



兄はドンッと突き飛ばした。



よろけて後ろに尻もちをつく俊くん



その瞬間、私はハッとして兄の手を
思い切り振り払い俊くんのところへ駆け寄る。


「しゅ、俊くん大丈夫!?」


「え、あぁ大丈夫。突き飛ばされると思って無かったから受け身取れんかった」



そう言って私に陽だまり笑顔を向ける。



よかった……


そして私はキッと兄を睨みつけた。



「那桜兄、何考えてるの!?急に不機嫌になるし、俊くん突き飛ばすし、最低だよ!!」



いつものどこか大人びた喋り口調も
忘れるほど、必死に兄を怒鳴りつける。



「菜々、いいよ。俺は別に大丈夫だから」


俊くんはそう言うけど
何も関係ない人を巻き込んだり
ましてや私の好きな人……
大事な彼氏を突き飛ばすなんて
那桜兄でも許せない……



「へぇ……そんなこと言っていいの菜々。俺の人生めちゃくちゃにしといてさ……逃げて……自分だけ幸せになろうって?」



ドクン



その言葉に動悸が激しくなる。
兄への罪悪感が再び身体中を支配する……
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