陽だまり笑顔の君に


「そ、それは……」


言葉に詰まる私を冷めた目で
見下ろす那桜兄


それを言われたら私は
もう何も言えなくなる……



「あの時確かに俺たち離れ離れになったけど……俺一言も別れようなんて言ってないよな?」



ドクンドクンドクンドクン



やめてやめてやめてやめて
やめてやめてやめてやめて



言わないで……それ以上
俊くんの前で……そんなの
知られたら……



「お前の初めては全部俺だった、キスもSEXも。言っとくけど……俺は別れたつもりないからな。お前だけ他の男と幸せになるなんて絶対許さねえから」



身体の震えが止まらない
今、後ろにいる俊くんが
どんな表情をしているのか
見るのが怖い……


知られたく無かった……



だって……兄妹でなんて……
普通じゃないって……


そんなの本当は最初からわかってた。



そうよ……私は汚れてるのよ
禁断の罪を犯してるんだもの



尋常じゃない心拍数に冷や汗と震え



「菜々!行くぞ」



突然、俊くんに手を引かれ
その場から逃げるように立ち去るーー。



そこから先の事はもう記憶に無かった。



どうやってアパートまで帰ってきたのか
俊くんが何を言っていたか……
何故、私は今部屋に一人でいるのか


何もかもがわからない……



ただ、1つ言えるのは、、、
もう私は俊くんと一緒には
いられないってことだけーーーーーー。
< 58 / 70 >

この作品をシェア

pagetop