愛され、囲われ、堕ちていく
「伊織!!」
「…っつ━━━━!」
凪沙の呼びかけに顔を向けた伊織。
その表情に、凪沙はビクッと身体を震わせた。

「伊…織……?」
……じゃない……?誰…?
いや、これが伊織なのだ。
目が完全にイっている。
きっと、伊織が見える全てのモノが敵に見えているかのような、凄まじい殺気。
なのに、とても楽しそうだ。

「伊、織…帰ろ?約束、したでしょ…?
こんな…伊織…嫌なの……」
そう言って両手を広げて待つ凪沙の元に、ゆっくり向かう伊織。
そして、グッと顔を近づけた。
「じゃあ…凪が、俺のこの狂気受け止めてね……!」
そう言って、二人で後部座席に乗り込んだ。

乗り込んですぐに凪沙を押し倒す、伊織。
「え…ちょっ……伊織…」
「収まらねぇんだよ……!?お前が止めたんだから、責任とれよ……」
強引に凪沙のワンピースを引き裂いた。
「キャァァ…!!!嫌ぁぁぁ…!」
伊織の舌や手が身体中を貪り、そのまま繋がった。

「━━━━━!!」

伊織であって、伊織でない。
こんな残酷な伊織は、初めてだった。
伊織はどんなに怒りに包まれていても、凪沙を抱く時はとても優しく慈しむように、愛すのだ。
いくら凪沙を束縛し支配していても、凪沙に対しては触れる手も表情も…全てが優しく穏やかだ。

なのに今は、ただの強姦魔だ。
ただ欲望のままに、相手を傷つける悪魔。
それこそ、狂犬になっていた。

そして自宅マンションに着く頃には、凪沙は気絶していた。

「紅音、これがお前が勝手にした結果だ!
凪を俺から放していいことなんて、何もないんだよ!
傷つくのは、お前じゃなくて凪だ!」
「………じゃあ…覚悟しとけよって、こうゆうこと…!?」
「そうだよ、お姉様」
そう言って、凪沙を抱き上げ車を降りた伊織だった。
< 18 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop