愛され、囲われ、堕ちていく
帰り、敬太が言う。
「ちょっと、HPに寄っていい?」
「は?なんで!?」
「荒太が来てくれって!」
「ちょっとだけだぞ!」

「伊織~敬太!
わりぃな…!」
「悪いよ!!俺は急いでる!用件を言え!」
「あーそこ!」
新太の視線の先を見ると、環奈達ファンクラブのメンバーがいた。
「は━━━?」

「伊織様~!」
「………消えろ」
「え?」
「伊織、もう少し優しく言ってやれ!」
「伊織、凪沙さん以外の女にはびっくりする程冷たいよな……」
「伊織様、奥さんに会わせて下さいよぉ」
「は?お前、死にたいの?」
「え……」
「お前は特別とでも思ってるみたいだが、俺はお前等のことを未だに認めてねぇんだからな!」
「でも、紅音さんが……」
「そ!それ!紅音のせいなんだよ!アイツが勝手に…!」
「せっかくだから、飯だけでも食ってけよ!
環奈ちゃん達が作ってきてくれたんだから」
荒太がなだめようと、伊織に声をかける。
「伊織、俺も腹減った!」
敬太の言葉に、伊織はため息をついた。
「はぁーわかったよ…
凪に連絡する」
凪沙に夕食がいらないことを伝え、スマホをテーブルの上に置いた。

そのスマホをジッと見つめる、環奈。
誰にもバレないように、伊織のスマホを取った。
「私、ちょっとお手洗い」
そう言って、伊織のスマホを持ったままトイレへ。

勝手に操作する。
「嘘…これだけ…?」
連絡先の数が、あまりにも少ない。
敬太と臣平、荒太、紅音、あとは凪沙位しかないのだ。
環奈はそこから凪沙の名前をタップし、メールした。
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