愛され、囲われ、堕ちていく
スマホが環奈の横スレスレを通って、すぐ後ろの窓ガラスに当たり、ガラスを突き破ってバルコニーに落ちた。
バルコニーに落ちたスマホは、バリバリに割れている。
「凪、風呂入ろ?」
二コッと微笑んで、凪沙に言った。
「え?伊織…!?」
凪沙の手を引っ張って出ていく、伊織。

「はぁーどうしてくれんの…!?
これでまたしばらく、機嫌悪くなる。
また仕事しなくなるじゃん!
………とりあえず、臣平に言わないと…」

ここのところ伊織が仕事をしていなかったのは、同窓会の事や、HPの仲間達との飲み会の事で伊織の精神的ストレスがあったからだ。
だから、臣平や敬太が調整して休ませていた。
凪沙と一緒にいることが一番の癒しになるから。

「凪沙も大変だ。
伊織の支配がまた酷くなる。
全部…お前等のせいだ。
━━━━━━あ、臣平?ちょっといい?」
敬太が電話をする為、席を外す。
そして、数分後戻ってくる。
「ちょっとお前等、端っこの方で待ってて。
今から臣平来るから。パーティーのこともあるし、俺…伊織と話さないといけないから。」
「私達、自分達で帰ります」
「は?ただで帰れると思ってんの!?
俺が待ってろっつうんだから、おとなしく待ってろよ!」
「は、はい…」

「派手にやったな…!」
臣平が来て、窓ガラスを見て言った。
「もしかしたら、パーティー行かないって言い出すかも…!?」
「だろうな。
でも、説得しないと俺もどうしようもねぇし…!
凪ちゃんは?大丈夫か?」
敬太の心配に、臣平が答える。

「凪沙、かなり怯えてる。俺もちょっと責めたし…」
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