愛され、囲われ、堕ちていく
「ちょっ…ほんとに離して!!」
凪沙は紫朗にソファーの上に組み敷かれていた。

ビリビリ……と嫌な音がしてドレスが引き裂かれた。

「嫌!!伊織!伊織、助けて!!」

ガンガンガン━━━!
その時、ドアが激しく叩かれる音がして開いた。
開いたドアの先には、伊織がいた。

伊織は正面にあるソファーに組み敷かれている凪沙を認めると、まっすぐ向かい紫朗の首根っこを持って引き剥がした。
人間はこんなに飛ぶのかと思う程、かなりの距離飛ばされた紫朗。
「う……!」
壁に背中を打ち付け、痛みでうずくまった。

「伊…織…?」
伊織は凪沙にジャケットを羽織らせ、目線を合わせて言った。
「凪…外に敬太待たせてるから、車で待ってて。
すぐ行くから」
「え?伊織は?」
「ん?壊しに行ってくる」
「え……?ダメだよ!一緒に━━━━」
「凪!!俺に……口答えしないで?
早く…外に行けよ……!
今、抑えてるの限界だから。このままじゃ…凪も巻き添えになる」
「私は伊織と━━━━━
ンンン……」
その瞬間、凪沙の口唇をキスで奪い塞いだ。

「このまま、窒息死する?
大丈夫。俺もコイツ等殺ったらすぐ、後追うから」
「い、嫌…」
「だったら、早く行けよ…!」
凪沙が部屋を出たのを確認して、伊織は紫朗の首根っこを再び持ち引きずって部屋を出た。
そのまま引きずり会場まで移動する、伊織。
「伊織…離せ!ちゃんと歩くから!」
「………」
紫朗の訴えを無視して、会場に着いた。
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