愛され、囲われ、堕ちていく
会場の扉を開けた伊織。
紫朗を会場の中に向かって、投げた。

「紫朗様!!」

伊織は煙草を咥えて、火をつけた。
天井に向かって、フーッと吹きかけた。
そして、煙草を咥えたまま言った。

「じじぃ…落とし前、つけろや!」
「フッ…お前、この人数を一人で相手すんのか?」
「うん」
「出来るのか?お前がここで俺等に手を出したら、白と黒の抗争になるぞ」
「うん」
「………」
「………」
「……それでも、勝てるってか…!」
「うん。でもそれは困るんだろ?」

すると、白井が紫朗に拳銃を突き付けた。
それをただジッと見つめる、伊織。

「親父!!やめてくれ!」
「伊織を……聖道 伊織だけは怒らせちゃいけねぇんだよ……」
そして、パーーン!という音と共に紫朗が倒れた━━━


「はっ!今、銃声したよね?
伊織に何か!?」
「大丈夫だよ。伊織はそんな簡単には死なないよ!」
車内で待機をしている凪沙が、心配そうに敬太に言った。
すると、伊織が帰ってきた。
「お待たせ!凪」
「伊織!」
伊織に抱きつく、凪沙。
「もう大丈夫だよ。
帰ろ?凪」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「どうなったの?白井さん」
「ん?
んー見せしめに使った」
「は?」
「死んではない。でも、もう二度と俺の凪に手を出すなっていう見せしめになってもらった」
帰ってすぐ、伊織に消毒しなきゃと抱かれて今は伊織の腕枕で横になっている、凪沙。

「伊織は“狂った悪魔”」
「は?」
「裕くんがよく言ってたな……」
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