愛され、囲われ、堕ちていく
裕隆
「裕隆の話はやめてってっつたじゃん!」
「でも、もうすぐ命日だよ。
お墓参り行くでしょ?
またみんなで行こ?」
「行くの?
もしかして、毎年?」
伊織は冷めたように言った。

「そうだよ。
大切な親友でしょ?行こうよ…!」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
HPのメンバーで、今裕隆のお墓の前にいる。
伊織だけは、少し離れたとこからみんなの様子を見ていた。

「もうすぐ…三年経つんだな……」
「早いね…」
ひとりひとり、手を合わせる。
「伊織、あと伊織だよ!」
凪沙が声をかける。
「俺はいい」
「え?伊織?」
「伊織!」
「なんだよ、敬太」
「お前には、責任あるだろ!?
ちゃんと手ぇくらい、合わせろ!」
珍しい敬太の鋭い視線。

「なんだよ、責任って!」
もちろん伊織も負けない。
「………言っていいのかよ……!?」
「言えよ」
お互い、にらみ合いが続く。

「おい!もうやめろ!凪ちゃん、いるんだぞ!」
臣平が止めに入る。


「凪沙!!
裕隆、ほんとは何で死んだか教えてやるよ!」
「え……?」
「おい!やめろ!敬太!!」
「やめて!敬太!!」
臣平と紅音が止める!!


「ここにいる、伊織に殺されたんだよ」

「え━━━━━」

敬太の声だけが、この空間を突き付けるように響いた。


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