愛され、囲われ、堕ちていく
「敬太、煙草!」
「ん」
伊織が煙草を咥えると、敬太がその煙草に火をつけた。
天井に向かって、フーッと吹きかける。

「あ!敬太」
「ん?」
「ここ終わったら、紅音に連絡して?」
「了解~!でもなんで?」
「同窓会…紅音にもハガキが届いてるはずだから、凪に余計なこと吹き込まないようにしないと…」
「あー凪沙と紅音は、同級だもんな!」

「てか、深木はまだ?
煙草一本吸い終わっちゃったじゃん!」
「伊織、後一本しかないよ!」
「は?買ってきてよ!」
「伊織、吸いすぎだ!凪沙も心配してたじゃん!」
「凪?」
「身体が心配だからって、俺に煙草を常備しないでほしいって言われたぞ!」
「………わかった」

「凪沙さん、優しいっすね!」
「あ?」
不機嫌な伊織の機嫌が更に悪くなる。
話しかけてきた組員の胸ぐらを掴み、自分の方に顔を引き寄せた。
「……うっ…///」
伊織の整った顔が近くにあり、男ながらドキッとする組員。
「お前のような穢れたゴミが、凪の名前を呼ぶな…!」
「もう!余計なこと言うなよ!お前…」
敬太も呆れて言った。

「もう、いい!深木が来ねぇなら、その前にここを壊す」
そう言って、その組員をそのまま目の前のガラスのテーブルに叩きつけた。
バリーンと大きなガラスの割れる音がする。
その音を皮切りに、伊織が組員達に殴りかかった。

伊織一人で、一回り以上も年上の男達を全員なぶり殺している。
しかも伊織は、とても楽しそうになぶるのだ。
まるで、遊んでいるように………
< 5 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop