君はどんな味がする？
アルフレッドが物陰から覗いてみると、使用人のサラが赤ちゃんを抱いていた。サラは産休・育休中だったがもうすぐ仕事に復帰する予定だ。そのための挨拶に来たのだろう。

「赤ちゃんの名前、トーマスだっけ？可愛い〜」

使用人たちは口々に言い、サラの腕の中で眠る赤ちゃんに笑顔を向ける。エマも駆け付け「わっ！可愛い！」とはしゃいだ。しかし、サラはどこか疲れ切ったような顔だ。

「確かに可愛いけど、夜泣きがひどくて大変だわ。赤ちゃん産んだら自分の時間なんてないし、こんなに大変ならもう一回お腹の中に戻ってほしいかも」

そのサラの言葉を聞いた刹那、アルフレッドの顔に笑みが浮かんだ。サラはトーマスをいらないと思っていると解釈したのだ。

「柔らかい赤ちゃんは前菜にぴったりだよね」

サラが他の使用人に呼ばれ、赤ちゃんから離れたのを見てアルフレッドは動いた。トーマスを抱き上げ、迷うことなく裏口を通って小屋へと向かう。
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