君はどんな味がする?
「コニー、その手はどうしたの?」

アルフレッドが訊ねると、コニーは「お恥ずかしい話なのですが……」と苦笑しながら言う。

「バラの手入れを手伝った際にトゲで怪我をしてしまったんです。結構深く切ってしまって……」

そう話すコニーから、アルフレッドは目が離せずにいた。否、正確にはコニー自身ではなく、コニーの手に巻かれた包帯に目が離せなかった。

コニーの包帯は血が滲んでいる。赤い血が固まり、ヴィンテージ物のワインのような色に染まっていた。それを見た刹那、「この血は美味しそう。飲みたい」と何故か思ってしまったのだ。

(何で人の血を飲みたいって思ったんだろう。ゲテモノ料理は好きだけど、人の血なんて普通飲みたいなんて思わないはずなのに……)

自分の気持ちに戸惑いつつ、アルフレッドは「倫理的にダメだ」と自分に言い聞かせる。しかし、我慢すればするほどコニーに目が向けられ、その血の味を確かめたくなるのだ。
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