君はどんな味がする？
そして翌日の真夜中、事件は起きた。



その日も食事を取り、お風呂に入った後、アルフレッドは自室に、エマは客間に向かった。エマはアルフレッドの屋敷に泊まりに来ることが多く、今日も泊まりに来たのだ。

「おやすみ、エマ」

「おやすみなさい、アル」

寝る前に軽く唇を重ねる。その時にアルフレッドが感じたのはエマに対する恋心などではなかった。エマの体はきっと食べたら甘いんだろうな、という狂気じみたものでアルフレッドは自分のことが怖くなってしまう。

「おかしいな……。人の血肉を口にしたくなるなんて……」

自室のドアを閉め、アルフレッドは大きく息を吐いた。自分がどんどん狂気に呑まれていっているような気がする。

「今日はもう寝よう」

読書をしようと思っていたが、早めに寝て気持ちをリセットすることにした。柔らかいベッドの上に横になると、すぐに眠気が現れる。アルフレッドは抗うことなく夢の世界へ落ちて行った。

「〜〜！」

誰かの悲鳴、そしてドサッと何かが倒れるような音でアルフレッドは目を覚ます。時計を見るとまだ真夜中だ。
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