君はどんな味がする？

「誰かまだ起きているのか？」

アルフレッドはそう思い、再び眠ろうとしたが悲鳴のような声は一階から響いてくる。気のせいではなさそうだ。

アルフレッドはため息をつき、パジャマの上にガウンを羽織って部屋の外へと出る。真夜中の広い屋敷の中はとても静かで暗く、幽霊が出てきてもおかしくないほど不気味だ。

悲鳴のような声が聞こえたのは厨房からだ。アルフレッドはろうそくに火を灯し、足元に気を付けながら歩いて行く。

眠っている使用人たちを起こさないよう、泥棒のように足音を立てないように歩き、アルフレッドは厨房へと足を踏み入れる。ドクドクと心臓の音がうるさい。緊張で指先が震えてしまいそうになった。

「誰かいるのか？」

アルフレッドがそう言ってろうそくの僅かな光で照らすと、「アル！！」と言いながらエマが抱き着いてきた。何故エマがいるのか、アルフレッドはわかった。

「冷蔵庫のアイスかチョコレートを食べるために来たのか……。大きな音がしたからびっくりしたんだぞ」