【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 レオンは、王太子妃の部屋に通じる扉を開くと、キャロルを寝台のうえに座らせた。
 瞳に涙をたたえて、どさくさまぎれに渡された三輪目を両手でかかえる仕草が、じつに愛らしい。何かが暴走しそうになるが、ポーカーフェイスを死守する。

「……遅くまで起きていてくれてありがとう、キャロル。ゆっくりお休み」
「おやすみなさいませ、レオン様。……あの」

 扉に手をかけたレオンに、キャロルは呼びかけた。

「わたくし、はしたない真似をいたしました。レオン様のお好きな方を知りたい一心でしたの……。ですから、その……どうか、嫌いにならないでくださいませ」

 乞うように言われたものだから、レオンはたまらなくなって、キャロルの元に戻った。
 力いっぱい抱きしめたいのを我慢して、額に口づけを落とす。

「俺がキャロルを想う気持ちは、少しも変わっていないよ。君は、いつだって俺の大切なお姫様だ」

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