【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
「今度は、どこに行くのです……!?」

 何かに急き立てられるように前に進むパトリックは、縦横無尽に町中を駆けた。右に曲がり、左に折れて、直線からのカーブ、そこからさらに右に……。
 足を動かしているうちに、キャロルの方向感覚はおかしくなってしまった。

 パトリックは、安いホテルの裏庭に出ると、立ち止まって吠え始めた。
 壁の向こうに、恐ろしいものでも潜んでいるように、警戒した様子で。
 吠えるのを止めようと、キャロルは背を撫でる。

「落ち着いて、パトリック。宿泊されている方のご迷惑になりますわ」
「――なんだい、うるさいねえ!」

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