【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 ホテルの女将が裏口から出てきた。
 大きなお腹に白いエプロンをしめた彼女は、キャロルとパトリックを見るなり、外に置いていたバケツをつかんで、溜めていた雨水をばしゃりとかけた。

「うちで何してんだい。さっさと出て行きな!」
「申し訳ございません! さあ、行きましょう、パトリック」

 ずぶ濡れになったキャロルがリードを引くと、パトリックはしぶしぶ従った。
 とてとてと道を歩いて行く。あれから吠えたり走ったりしないところを見ると、パトリックは、よほど、あのホテルが気になったようだ。

(何だったのかしら……あら?)

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