【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 相手の顔を見て、キャロルは驚いた。
 今はシザーリオ公爵家にいるはずの相手だったから。

「タリア!」

 名前を呼ぶと、タリアは微笑んだ。

「お久しぶりです。セバスティアン様のご命令により、本日より王城にご奉公にあがることになりました。しばらくの間、キャロル様の話し相手として働きます」
「そうだったのね。タリアが来てくれて、ほんとうに嬉しいわ。でも、セバスお兄様はどうして貴方をこちらに遣わせたのかしら?」

 レオンの計らいにより、侍女は十分に宛がわれているというのに。

「セバスティアン様は、キャロル様の身を案じていらっしゃるのですわ。公爵家を間されてから、キャロル様の暮らしぶりを毎日のように王太子殿下に尋ねておられました。熱をあげたと聞いて、いてもたってもいられず、私を王城に遣わせると決められたのです」
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