【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
21 姫はこうして恋に落ちた
十年前、キャロルは病床にいた。
黄昏どきの空の色に染められた寝室に、苦しそうな咳がひびく。
「けほっ、けほっ……」
ゼエゼエと肺を鳴らして、やっと息を吸う。
こんなにも苦しい原因は噛み木の毒だ。
メイドと黒霧の森にピクニックに出掛けて、噛まれてしまったのである。
大人でも生死の境をさまよう毒におかされたキャロルは、もう三日も寝込んでいた。
往診に訪れた公爵家お抱えの医師は、最悪の場合も覚悟しておくようにとセバスティアンに告げた。
宣告を受けた兄が、扉の向こうで声を殺して泣いていたのを、キャロルは知っている。
(わたくし、死ぬのね)
黄昏どきの空の色に染められた寝室に、苦しそうな咳がひびく。
「けほっ、けほっ……」
ゼエゼエと肺を鳴らして、やっと息を吸う。
こんなにも苦しい原因は噛み木の毒だ。
メイドと黒霧の森にピクニックに出掛けて、噛まれてしまったのである。
大人でも生死の境をさまよう毒におかされたキャロルは、もう三日も寝込んでいた。
往診に訪れた公爵家お抱えの医師は、最悪の場合も覚悟しておくようにとセバスティアンに告げた。
宣告を受けた兄が、扉の向こうで声を殺して泣いていたのを、キャロルは知っている。
(わたくし、死ぬのね)