【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 看病についていた侍女は、椅子でうたた寝をしている。黒霧の森に連れて行った責任を感じて、夜も昼もキャロルの世話をしていたから、疲れたのだろう。

 喉が乾いていたキャロルはなんとか一人で起き上がり、サイドチェストの水差しからほんの少し口に含んだ。

「っ、けほっ」

 咳をこらえて、再び寝転がろうとしたそのとき。
 換気のために開けている窓から、カタン、と物音がした。

「…………?」

 侍女を起こすのが可哀想だったので、キャロルは、力をふりしぼって立ち上がり、窓際に歩いていった。
 椅子にのぼってガラス窓を押し開けると、ウインドウボックスに薔薇が一輪さし込まれていた。

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