【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
「神に祈りを届けるために必要なのは、気持ちです。文言の一字一句に気持ちを込めて唱えることで、熱意におされて神が聞き届けてくださるものなのです。そう申し上げましたら、殿下は、こうおっしゃられました」

 ――では、おれは『好き』の気持ちを込めよう。

「毒に苦しむキャロル様を神に救ってもらうため、殿下は、文言の一字一句に『好き』のお気持ちを込められたのです。キャロル様がご快癒されたのも、その甲斐あってのことでございましょう」

「そ、その文言は、拝見できますか?」
「そちらに刻んでございますよ」

 シスターが指した先には、巨大な石版があって、神への祈りの文章が刻まれていた。かなりの長さで、一回祈るだけでもへとへとになりそうだ。

「それを朝と夕、そして眠る前に唱えます。殿下は、一日も欠かさずにこなしておいででした」

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