【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 後方からつづくレオンは歯がゆく思う。
 馬の方が足は速いとはいえ、速度を出せるのは広い場所の話だ。
 騎乗する人間の重みと、石畳という固い足場、曲がり角が多い町並みという条件下では、軽快に走るのは難しい。

(キャロル、早まらないでくれ。君がいなくなったら、俺は……)

 彼女が毒におかされた日を思い出す。
 親友のセバスティアンに『このまま死ぬかもしれない』と告げられて、全身から力が抜けた。

 どうして彼女が。
 あの天真爛漫で、純真で、優しい彼女が、こんな目に。

 噛み木に襲われた場面に、自分がいなかったことを恨んだし、苦しみを変わってあげたいと強く思った。
 けれど、無力なレオンがキャロルのために出来ることなんてわずかで。

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