【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 中通路でガラス筒のランタンに火を灯し、鋼鉄の扉につけられた錠前を解くと、いよいよ宝物庫への道がひらかれた。

「暗いから、手を繋いでいこう」
「はい」

 ランタンを掲げたレオンに手をにぎられ、導かれるように進み出して歩いていく。

 保管されている絵画や彫刻には白い布がかぶさり、かわいいお化けが何匹もいるみたいだ。貴重な歴史書は、そびえるように高い本棚に収められていて、大きな鎖で封じられていた。

「普段は、保管品の扱いに長けた専門官を伴って入るんだ。魔法の大鏡はこっちの宝飾室にある」
「宝飾室、ということは、王冠があるお部屋ですか?」
「そうだね。王冠は金庫に納められているはずだけど――」

 宝飾室に入ったレオンは、眉をひそめて言葉を切った。

「――荒らされている?」

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