【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 キャロルは、レオンの背からひょこっと顔を出して、中をのぞいた。

 うす暗い部屋の壁には、ガラスケースに覆われた宝飾品がかけられ、歴代の王妃が身につけた豪華なアクセサリーを並べた台が縦に並べられている。

 その一部のケースが割られ、中の宝石がなくなっていた。

「まあ! 盗まれてしまったのですか?」
「残念ながらそのようだ。他のケースも調べるよ。キャロルはここで待っていてくれ」

 レオンは、キャロルから手を離して、ランタンの火を頼りにケースを見て回る。その間、暗がりで見守っていたキャロルの頬を、ひゅうと冷たい風がかすめた。

「窓もないのに、どうして風が……?」

 冷たい空気をたどっていくと、部屋のすみの床が抜けていた。その下には、短い階段が見える。城に張り巡らされているという、隠し通路だろう。
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