【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 泥棒は、ここから入り込んだようだ。

「レオン様、泥棒の通った道が分かりました!」

 ランタンの明かりに向かって呼びかける。体を反らした拍子によろめいて、床にわだかまっていた紫色のカーテンを踏んづけた。
 キャロルの足は、ずるりと床をすべる。

「きゃ――」

 その場に尻もちをついたキャロルは、そうっと顔を上げた。落ちたカーテンが守っていた壁に、大鏡が立てかけられていた。

「これが、魔法の大鏡?」

 鏡面は、青いさびが浮いて曇っている。
 周囲が暗いせいもあって、はっきりと姿が映らない。

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