【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 命令を託したレオンは、仰天するセバスティアンを引っ張って駆け出した。このままでは、盗品といっしょにキャロルも国から持ちだされる恐れがある。

 沖に出た辺りで殺されてしまう可能性が高い。
 欲しい指輪を盗るために、殺して指を切る犯罪者もいるくらいだ。

 キャロルのか細く白い指を思い出して、レオンは闘志を昂ぶらせた。
 一刻も早く助け出さなければ。

 白馬にまたがり、セバスティアンの支度をまたずに手綱を振り下ろす。

「行け!」

 馬は走り出した。町中をひた走っている間も、夜の帳はどんどん下りてくる。
 風は冷たく、むき出しの顔や首が、ヤスリで刷られているように突っ張った。

 後ろから、栗毛の馬を駆ってきたセバスティアンの声がする。

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