【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 キャロルは、そちらに向かって歩き出した。

 落ちている薔薇を拾っていく。拾うたびに次の一輪が見つかった。

 曲がり角の『幸福』、階段下には『信頼』、玄関ホールの壺に『希望』、応接間のチェストには『愛情』……。

 屋敷はひっそりと静まり返り、薔薇を追い集めるキャロルの足音だけがひびく。

 ティールームの椅子に『情熱』、台所のお鍋のうえに『真実』、図書室のテーブルに『尊敬』……。
 拾い集めた薔薇で、キャロルの手には花束ができていく。

 兄の執務室には『栄光』があった。
 ここまで、キャロルが十二夜の儀式で受け取ってきたのと、同じメッセージだ。

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