【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 開け放たれたガラス戸をくぐり、広いテラスに出る。
 テラスの中央に、十一輪目の薔薇が落ちていた。

 キャロルは、拾い上げてタグを月光にかざした。

「『努力』ですわ」

 レオンに渡してもらいたかった、十一輪目。
 それが今、キャロルの手のなかにある。

「うれしい……!」

 胸がいっぱいになって薔薇をかき抱くと、「ワン」と犬の鳴き声がした。

 庭に顔を向けたキャロルは、大きな金色の犬を連れた男性が、背を向けて立っているのに気がついた。地面に下りて、見覚えのある人影に駆け寄っていく。

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