【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
「レオン様」

 金髪を揺らして振り向いたのは、久しぶりに見る王太子だった。
 誰もがうらやむ甘く美しい容貌を、カッチリした詰め襟の礼服が際立てている。

 いまだにレオンが好きな心は愛しさにうずくが、キャロルはもう彼の婚約者ではない。膝に抱え上げられて、お姫様扱いされる夢の時間は、もう終わったはずだ。

 それなのに、キャロルを見るレオンの瞳は、愛おしげに潤んでいた。

「遅くなってごめん。十二夜の再開を国王に認めてもらうため、時間がかかってしまった」
「再開なんてできますの? 前例はありませんのに」

 十二夜が失敗するのは、新婦か新郎のどちらかが、結婚に対して踏み切れなかったからだと言われている。
 どうしようもない出来事で、中止にせざるを得なかったのだとしても、そうなる運命だったのだと片づけられてきた。

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