【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
「前例がないって、周りに耳が痛くなるほど言われたよ。そのたびに、最初の二人になりますと突っぱねて、ついに認められた。……薔薇、受け取ってくれてよかった」

 レオンの視線が、キャロルの胸元に落ちる。
 そこには、公爵邸を歩きまわって集めた十一本の花束があった。
 これは、十二夜を再開するためにレオンが準備したものだったのだ。

「十一夜かけて俺の気持ちを伝えてきた。本来であれば、盛大な結婚式の用意をして迎える十二夜目だけれど、再開の決定が下りた今夜、どうしても最後の想いを渡したい」

 レオンは、胸に挿していた薔薇を取り上げて、その場に跪いた。

「エイルティーク王国の薔薇にかけて、あなたに十二夜目の『永遠』を捧げます」

 結婚式典である『十二夜』は、十二日連続してエイルティーク王国の国花である薔薇を一輪ずつ、新郎から新婦へと渡していく儀式だ。

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