【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 もう答えは決まっている。
 だが――。

 キャロルが十二本目の薔薇も花束に入れてしまったので、レオンの表情は曇った。

「俺に戻してくれないってことは、もしかして……全部捨てるつもり?」
「いいえ? せっかくいただいた十二輪目ですもの。戻してしまうのはもったいないですわ。わたくし、もっと素敵な方法でお返事いたします!」

 キャロルは、自分の指から抜いたヴァイオラの指輪を、レオンの左手の薬指に嵌めた。
 サイズが小さいので第二関節までしか下がらなかったが、キャロルの手で戻せたことに違いはない。

「レオン様、大好きです。わたくし、喜んでレオン様のお妃になりますわ」

 両手を広げて抱きつくと、辺りからいっせいに拍手が起こった。
 茂みの影や暗いバルコニーから、シザーリオ公爵家の使用人たちが現われて、レオンとキャロルを祝福してくれる。

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