【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
(レオン様どうかお幸せに。わたくしは、領地のログハウスで、動物と触れ合ったり、パンやお菓子を焼いたり、星を眺めたりする、のんびりまったりなお一人様ライフを送るので、お気づかいなく。好きな方とのラブラブな新婚生活を楽しんでくださいませ)

 待たせていた馬車に乗りこんで公爵家に帰りついたキャロルは、使用人たちに命じて旅支度をととのえさせた。

「わたくしが王都にいるとレオン様の恋人が気にされるでしょう。今日中に王都をたちますので、手早くまとめてくださいな。ドレスや宝石は使わないので置いていってかまいませんわ。愛用しているブーツと雨合羽と軍手は忘れずに」
「なんだ、やまかしい……」

 騒ぎを聞きつけて顔を出したのは、目のしたに青黒いクマを作った兄セバスティアンだった。
 シザーリオ公爵家の現当主で、元より生真面目な男。キャロルの結婚式の準備のために多忙をきわめており、過労死寸前のところまで追い詰められている。

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