【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 キャロルが歩く通りには、多数の市民が行き交っていた。仕事場に向かったり、学校に向かったり、朝食用のパンを買いに出た人々の笑顔はまぶしい。

 クレープ屋台のまえを通ると、良い匂いがただよってきてお腹がぐうと鳴った。昨日あんなにお菓子を食べたのに、もう消化してしまったようだ。

「お小遣いはかぎりがあるけれど、お腹が減っては逃亡できませんわ。クレープをいただきましょう」

 キャロルは、屋台のまえにできていた行列の最後尾に並んだ。公爵令嬢として買い食いは禁じられていたので、こうして食べ物を買うのは初めてである。

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