不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 


「じゃあ、その胎盤が邪魔して、このままだと赤ちゃんはお腹から出てこられないってことですか?」

「いやいや、まだ五ヶ月の終わりだし、これから胎盤の位置が動くこともあるから。それにもし前置胎盤のままだったとしても、帝王切開なら安全に産むことができるからね」

「そうなんですね……」


 とりあえず安全に産めるという言葉が聞けてホッとした。

 でも、胎盤の位置が悪いと言われた以上、どうしても不安を抱かずにはいられない。


「それじゃあ、隣の部屋の内診台に座っていただいてもいいですか」


 そうしてその日は妊娠初期の頃のように経膣からのエコー検査をして検診を終えたのだけれど、結果として先生が予想してよりも胎盤が子宮口に被っているということで、この病院での出産は困難だという結論を告げられてしまった。


「個人院であるうちで出産するには、少々リスクが高いというのが理由です。やはり大きな病院のほうが様々な設備が整っていますし、いざというときにも早急な対応ができますから」

「リスク……ですか」

「はい。やはり、一番は出産時の出血に関するリスクですね。幸い、この近くにNICUのある総合病院がありますし、そちらの産婦人科に紹介状を書かせていただきますがよろしいですか?」


 先生が紹介してくれたのは、この辺りで一番大きな医療機関、〝中央総合病院〟だった。

 前置胎盤やら出血のリスクやら、NICUやら……聞きなれない言葉ばかりが出てきて混乱してしまったけれど、とにかく先生の指示に従うべきだということだけは理解した。

 
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