不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「それで? 詳しく説明してほしいんだけど」
「あ……う、うん」
でも今はそれより何よりお腹の子のことだ。
私は先生に言われたことを一通り説明したあと、自分でも調べたいくつかの心配事を灯に伝えた。
「もし癒着胎盤だったら、出産のときに大量出血するかもしれないって……。赤ちゃんだって、本当に無事に産んであげられるかどうかわからないし、何かあったらどうしよう」
調べれば調べるほど、不安になる言葉ばかりが目についた。
それに、これまで通っていた個人院の先生はすごく優しくて丁寧に診察をしてくれていたけど、転院先の中央総合病院ではどんな先生が主治医になるかもまだわからない。
「色々、大丈夫なのかな。私、母親として、ちゃんとこの子を守れるのか心配で……。今まで通ってた病院の先生は本当にいい先生だったし、できればあの先生がいる病院で産みたかったな、とかも考えちゃうし……」
初めての出産だからこそ、信頼できる先生のもとで産みたかった。
と、ソファに座って今の素直な気持ちを吐露した私の手を、灯の大きくて温かい手が優しく包んだ。
「大丈夫。とにかく今は、総合病院で詳しく検査してもらえることを幸運に思おう」
「幸運に?」
「ああ、前置胎盤だってちゃんとわかっただけでなく、より安全に出産できる病院を紹介してもらえたんだから。牡丹が信頼してる先生なだけある。その先生が紹介状を書いてくれた病院なら、絶対に大丈夫だ」
心強い言葉に、思わず目を瞬いた。
確かに灯の言うとおり、早々に問題を発見してもらえて少しでもリスクを回避するための判断を受けられたことは、見方を変えればラッキーだったと言えるのかもしれない。