不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「ねぇ、灯。私ね、これから先も灯と一緒に前を向いて歩いていきたいと思ってるよ」
「牡丹……」
「仕事のことも、さっきも言ったとおり、できる限り諦めたくない。森先輩は無理のないようにって言っていたし、私もこれまで以上に気をつけるから、できるところまで続けてもいいかな」
もちろん職場のみんなに迷惑がかかっていると判断した時点で、身を引く覚悟もできている。
それでも以前、灯が言ってくれたように、私の働き方が今後の産前産後の妊婦スタッフの働き方の指針になるかもしれないのなら、やっぱり少しでも多くの選択肢があることを示しておきたい。
「……ハァ、仕方がないな。だけど、担当医の志村先生と森が無理だと判断したら、すぐに休職の申請を出すって約束しろ」
「うん、わかった……って、休職? え、私、仕事を辞めなくてもいいの?」
驚いてキョトンと目を丸くすれば、灯は恨めしそうに私を見たあと、今度は短い息を吐いた。
「別に俺は最初から、牡丹に仕事を辞めろなんて一言も言ってないだろ。そもそも牡丹は前に、仕事は好きだから続けたいって言ってたしな」
覚えていてくれたんだ……というか、灯は灯なりに私の今後について考えてくれていたということだ。