不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 


 これから、私は彼に抱かれるんだ。

 羞恥心に耐えられなくて顔を逸らせば、窓の外に白い月が浮かんでいるのが見えた。

 そうしてあっという間に前ボタンをすべて外され、続いてズボンまで脱がされたところで灯が不意に手を止めた。


「……そんなに見ないで」


 無駄な抵抗だとはわかっていても、顕になった下着と肌を腕で隠す。

 けれどすぐに手首を掴まれ、僅かに乱れたシーツの上に縫い付けられた。


「嫌だね。やっと手に入るんだ。恥じらう表情も、感じているところも、俺に乱される姿も全部、目に焼き付ける」

「な……っ」


 狡猾に笑った彼の表情と言葉に、必然的に頬が羞恥で赤く染まった。


「前から思ってたけど、牡丹って肌がきれいだよな。触り心地も最高だし、感度も良さそう」

「変態……っ」


 手を振り上げようにも手首を掴まれたままなので叶わない。

 ギッと強く灯を睨めば、何故かクスクスと楽しそうに笑われた。


「強がってるところ悪いけど、顔は真っ赤だし、まるで効果ないな」

「別に強がってなんかない! やるならさっさと始めてよ……っ」

「だから、それが強がりだって言ってるんだよ。現にほら……手、震えてる。こんなときくらい、少しは素直になったらどうだ」

「……っ」


 改めて指摘されると余計に恥ずかしくて、情けなくてたまらなかった。

 悔しい。誰のせいでこんなにひねくれたと思っているの。

 灯と結婚すると決めたときから、いつかこういうことをする日がくるって覚悟をしていたのに、いざとなると不安と恐怖が胸を覆って、いつも以上に虚勢を張らずにはいられなかった。

 
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