不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「牡丹以上なんていない」
「や、あ……っ」
「昔から俺には、牡丹よりも欲しいものなんてないんだよ」
鼓膜を揺らした甘い言葉は、今まで一度も経験したことのない刺激の中で私が聞いた幻聴にも思えた。
その後のことはもう、ハッキリとは覚えていない。
優しくするって言ったくせに、結局最後はわけがわからなくなるくらいに激しく、灯は私を抱き潰した。
「牡丹、俺はお前のこと──」
シーツを掴む手にも力が入らず、まどろみの中を漂う意識の中で、灯が耳元で何かを囁いたような気がした。
今、灯はなんて言ったの――?
そうして私は灯の温かい腕に抱かれたまま、初めて彼のベッドで眠って朝を迎えた。