不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 


「だから、とにかく今は、牡丹は自分の身体を第一に考えろ。それ以外のことは、すべて俺がなんとかしてみせるから」


 心強い言葉に、また胸がジンと痺れた。

 今ならまた昔のように、本当に灯を心から信じることができるかもしれない。

 だけど、そんなふうに期待してしまうのも怖かった。それくらい、私にはあの公園での出来事がトラウマになっているのだ。

 それまで優しく、誰よりも近くにいたはずの彼が一瞬で別人になって、一番遠い場所に行ってしまった。

 もう二度と、あんな思いはしたくない。だから私は、過度な期待をするのはやめようと思って灯から目を逸らした。


「そ……そうだ。職場への連絡はどうしよう。米田さんには一応、妊娠のことは伝えたほうがいいのかな?」


 自分の気持ちと動揺を誤魔化すために、思いついたことを口にした。

 すると何故か灯の表情が曇って、私はまた驚いて目を見張った。


「どうしたの?」

「……いや、いい。別に、牡丹は当たり前のことを言っただけだから」


 口元に手をあてた灯は、今度は深くため息をつくと眉間のシワを深くした。

 ……私、何か間違えた? というか、やっぱり灯の情熱的な言葉に、何か返事をしたほうがよかったのかな?

 
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