不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「はぁ……。ほんと、勘弁してくれ」
「へ?」
「そういうこと、不意打ちでされると抱きしめたくなる」
「え──」
次の瞬間、昨日とは比べ物にならない力で、身体を強く抱き寄せられた。
驚いて身体を硬直させたら、大きな手が安心させてくれるように私の後ろ髪を優しくなでた。
「と、灯?」
「俺も、もう少しこのままでいたい」
甘い吐息が耳元にかかり、身体の芯が熱くなった。
逞しい腕は慈しむように私を包み、太陽の日差しのようなぬくもりを心にくれる。
ああ、そういえば──初めて身体を重ねたあの夜も、灯はこんなふうに最初から最後まで優しかったんだ。
とくん、とくん、という心地の良い鼓動の音が鼓膜を揺らす。
その音は小さな画面の中で見た命の点滅と重なって、胸の奥が熱くなった。