不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「それで? 今、何を言われてきたんだよ」
「え?」
「牡丹の両親に何か言われたから、泣いてたんだろ」
ああ、そういえば私、凹んでたんだっけ。
灯の告白が衝撃的すぎて、色々と思い悩んでいたことが頭から飛んでいた。
「妊娠のことを報告したら……なんていうか、〝これでようやく灯くんの妻としての役目が果たせるな〟って言われて」
「……は?」
「お腹の子は藤嶋家の跡継ぎなんだから、もちろん性別は男の子だよねとか、跡継ぎができて灯くんも安心しただろうとか、まぁ色々……」
私の言葉を聞いた灯は、あからさまに眉根を寄せて苦虫を噛み潰したような顔をした。
私自身も自分で言いながらまた不快な気持ちになって、お腹の子にこんな言葉を二度も聞かせてしまったことを後悔した。
「だから、もしかしたら灯が妊娠を喜んでくれたのは、両親と同じで、藤嶋家の跡継ぎができて安心したからなのかもしれないとか思って……」
「そんなわけないだろ!」
思わずと言った様子で叫んだ灯は、私がビクリと肩を揺らしたのを見て『しまった』という顔をした。
「……悪い、急に大きな声を出して。だけど、悪い冗談にもほどがあると思って、つい反射的に声が出た」
灯は自分を落ち着けるように「ふぅ」と長い息を吐くと、改めて私を真っすぐに見つめて口を開いた。