円城寺家のイケメン探偵 ~脅迫状に込められた思い~
『はい…大丈夫です。佐々木先生は、私に言いました。お前「万引き」しただろうって。もちろん身に覚えのないことです。だから否定しました。なのに、先生は…黙ってて欲しかったらお金を持って来いって…』


『佐々木先生が…?ひどい』


赤田さんが言った。


つらいよね、ずっと信じてた先生だから…


『私、どうしても行きたい大学があって、一生懸命勉強してきました。なのに、やってもいない「冤罪」で警察に連れて行かれたら…その夢が壊れてしまうのが怖かったんです』


中島さんは、ひとすじ涙を流した。


『…仕方なくお金を数回渡しました。少しだけ貯金があったので…だけど、それもすぐに無くなって。先生に、お金は払えないから止めて欲しいとお願いしました。でも聞いてくれなくて。私…もうどうしたらいいのかわからなくなって、一生懸命考えて脅迫状を書いたんです』
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